ワルラスの純粋経済学要論を読む前に
ミクロ経済学の基礎を固める
ワルラスの『純粋経済学要論』は、ミクロ経済学の古典であり、需要と供給の同時決定による一般均衡理論を体系化した画期的な著作です。しかし、その内容は非常に難解であり、経済学の基礎知識がないと理解するのは困難です。
具体的には、需要曲線、供給曲線、均衡価格、弾力性などの基本的な概念や、消費者行動の理論、企業行動の理論などを事前に学習しておく必要があります。これらの概念を理解することで、『要論』で展開される数式や理論の背景にある経済学的な意味を理解することができます。
数学的な素養を身につける
『要論』では、経済現象を厳密に分析するために、高度な数学が使われています。特に、微分積分学の知識は必須と言えます。ワルラスは、経済学に初めて微分積分学を本格的に導入した経済学者の一人であり、『要論』では、効用関数、生産関数、市場均衡などを表現するために、微分や偏微分の概念が頻繁に登場します。
数学が苦手な方は、『要論』を読む前に、高校レベルの微分積分の基礎を復習しておくことをお勧めします。また、経済学における数学の役割を解説した入門書を読むことも有効です。
経済学史の知識を持っているとより深く理解できる
『要論』は、19世紀後半の経済学の状況を色濃く反映した著作でもあります。当時の経済学は、アダム・スミスやダヴィッド・リカードなどが提唱した古典派経済学が主流でしたが、ワルラスは、限界革命と呼ばれる新しい学派の旗手として、古典派経済学を批判し、独自の経済理論を構築しました。
『要論』を深く理解するためには、古典派経済学と限界革命の違い、ワルラスの理論が当時の経済学に与えた影響などを知っておくことが役立ちます。経済学史の入門書を読んだり、ワルラスの生涯や業績について調べたりすることで、より深く『要論』の内容を理解することができます。