## ワルラスの純粋経済学要論の関連著作
アダム・スミス「国富論」
1776年に出版されたアダム・スミスの「国富論」は、経済学を独立した学問分野として確立した記念碑的作品として広く認められています。
本書は、富の源泉を労働に求め、分業や自由競争による経済発展の可能性を説いています。スミスは、「見えざる手」と呼ばれる市場メカニズムが、個々の利己的な行動を社会全体の利益に導くことを説明しました。
「国富論」は、ワルラスの一般均衡理論の基礎となる重要な概念を提供しました。例えば、スミスの価格メカニズムに関する考察は、ワルラスが需要と供給の関係を分析し、市場均衡の概念を発展させる上で重要な役割を果たしました。
ダヴィッド・リカード「経済学および課税の原理」
1817年に出版されたダヴィッド・リカードの「経済学および課税の原理」は、古典派経済学の基礎を築いた重要な著作です。
リカードは、本書において比較優位の原理を提唱し、国際貿易がすべての国に利益をもたらすことを論じました。また、地代論を展開し、土地の希少性と地代の発生メカニズムを分析しました。
リカードの著作は、ワルラスの経済学に多大な影響を与えました。特に、リカードの限界地代論は、ワルラスが限界効用理論を発展させる上で重要な役割を果たしました。また、リカードの抽象的な分析方法は、ワルラスが数学を用いて経済現象を分析する手法の先駆けとなりました。
ジョン・スチュアート・ミル「経済学の原理」
1848年に出版されたジョン・スチュアート・ミルの「経済学の原理」は、古典派経済学を体系的にまとめ、19世紀後半から20世紀初頭にかけて経済学の標準的な教科書として広く読まれました。
ミルは、本書において生産、分配、交換、および社会の経済的進歩に関する包括的な分析を提供しました。また、リカードの価値論を発展させ、生産要素の相互作用が価格決定に与える影響を分析しました。
ミルの著作は、ワルラスの経済学に重要な影響を与えました。特に、ミルの市場メカニズムに関する分析は、ワルラスが一般均衡理論を発展させる上で参考にしました。また、ミルの功利主義思想は、ワルラスの厚生経済学の考え方に影響を与えた可能性があります。