## ワルラスの純粋経済学要論の翻訳
日本語訳出版の背景と意義
レオン・ワルラスの主著『純粋経済学要論』(Éléments d’économie politique pure)は、1874年に初版が刊行されました。この著作は、限界効用理論に基づく近代経済学の体系を初めて提示した画期的なものであり、アルフレッド・マーシャルと並んで近代経済学の創始者の一人として、ワルラスは位置づけられています。
しかしながら、原著がフランス語で書かれているということもあり、『純粋経済学要論』の日本語訳が出版されるまでには、長い年月を要しました。 これは、当時の日本の経済学界において、フランス語よりも英語やドイツ語の文献が主流であったこと、さらにワルラスの著作が数学的な記述を多用した難解なものであったことなどが影響していると推測されます。
日本語訳の特徴
『純粋経済学要論』の日本語訳は、複数存在します。それぞれ異なる翻訳者が、異なる時期に訳出を行っています。そのため、訳文のスタイルや用いられている用語、さらには訳注の量などに違いが見られます。
日本語訳がもたらしたもの
『純粋経済学要論』の日本語訳が出版されたことは、日本の経済学研究に大きな影響を与えました。それは、日本の経済学者たちが、ワルラスの限界革命の思想に直接触れることができるようになったことを意味します。
日本語訳の課題
『純粋経済学要論』は、経済学史上の古典として、現代でも重要な著作とされています。しかしながら、原著が出版されてから100年以上が経過しており、現代の読者にとって理解が難しい箇所も少なくありません。そのため、既存の日本語訳に加えて、現代の読者にもわかりやすい、新しい日本語訳の出版が期待されます。