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ワルラスの純粋経済学要論の思想的背景

ワルラスの純粋経済学要論の思想的背景

ワルラス経済学と古典派経済学

レオン・ワルラス(Léon Walras, 1834-1910)は、一般均衡理論の創始者として知られる経済学者であり、その主著『純粋経済学要論』(Éléments d’économie politique pure, 1874-77年)の中で、市場経済における価格の相互依存関係を数学的に分析しました。

ワルラスの経済学は、アダム・スミスやダヴィッド・リカードといった古典派経済学の伝統を受け継ぎつつも、独自の理論展開を行っています。古典派経済学は、労働価値説に基づいて商品の価値を説明しようとしたのに対し、ワルラスは、商品の価値は需要と供給の相互作用によって決定されると考えました。

限界革命とオーストリア学派

ワルラスの経済学は、1870年代に起こった「限界革命」と呼ばれる経済学の大きな転換点と密接に関係しています。限界革命とは、経済分析において「限界」という概念が導入されたことを指し、ワルラスの他に、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズやカール・メンガーといった経済学者たちが貢献しました。

特に、オーストリア学派の創始者であるメンガーは、ワルラスとほぼ同時期に、需要と供給に基づく価値の主観的理論を展開しており、ワルラスの経済学に大きな影響を与えたと考えられています。

数学的方法と物理学の影響

ワルラスの経済学の特徴の一つに、数学的方法を積極的に導入したことが挙げられます。ワルラスは、経済現象を数学的なモデルによって表現することで、より厳密で客観的な分析が可能になると考えました。

このようなワルラスの数学的指向は、彼の父である経済学者オーギュスト・ワルラスや、当時のフランスで盛んだった物理学の影響を受けているとされています。実際、ワルラスは『純粋経済学要論』の中で、経済学を「社会的な富に関する理論としての経済学は、物理学や力学と同じように、本質的に数学的な科学である」と述べています。

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