ワトソンの二重らせんの話法
ワトソンの視点と一人称
本書はジェームス・D・ワトソン自身の視点、すなわち一人称で語られています。 これは単に科学的事実を客観的に記述するのではなく、ワトソン個人の主観的な経験や感情、思考を通して物語が展開されることを意味します。 読者はワトソンの目を通して、DNA構造発見に至るまでの研究プロセスや、周囲の人物との関係、競争や葛藤などを追体験することになります。
率直で感情的な語り口
ワトソンの語り口は極めて率直で、彼自身の感情や欲望、野心を隠すことなく表現されています。 研究に対する情熱、ライバルとの競争心、共同研究者であるクリックとの友情、そして女性に対する率直な感情などが赤裸々に描写されています。 この率直さは、時に傲慢さや偏見として批判の対象となることもありますが、同時に当時の科学界の雰囲気や研究者たちの生々しい人間関係を伝える効果も持っています。