ワットの蒸気機関の改良の関連著作
Denis Papin, “Nouvelle manière pour lever l’eau par la force du feu” (1707)
フランス生まれの物理学者、ドニ・パパンが1707年に出版した著書。パパンは大気圧の力を利用した初期の蒸気機関の開発で知られています。この本の中で彼は、シリンダーとピストンを用いた蒸気機関の設計について詳述しています。パパンの設計は、水を沸騰させて蒸気を発生させ、その蒸気でピストンを押し上げるというものでした。蒸気が冷えて凝縮すると真空状態になり、大気圧によってピストンが押し下げられます。この動きを繰り返すことで、水を汲み上げるポンプなどを動かすことができます。パパンの蒸気機関は、後のワットの蒸気機関の重要な先駆となりました。
Thomas Savery, “The Miner’s Friend; or, an Engine to Raise Water by Fire” (1702)
イギリスの発明家、トーマス・セイヴァリが1702年に出版した著書。セイヴァリは、鉱山から水を汲み上げるために設計された、実用的な蒸気機関を初めて開発した人物の一人として知られています。この本の中でセイヴァリは、彼の発明した蒸気ポンプについて解説し、図解を用いてその構造や動作原理を詳しく説明しています。セイヴァリの蒸気機関は、ワットの蒸気機関ほど効率的ではありませんでしたが、鉱山の排水問題を解決する上で重要な役割を果たしました。
James Watt, “Description of a new invented Method of lessening the Consumption of Steam and Fuel in Fire Engines” (1769)
スコットランドの発明家、ジェームズ・ワットが1769年に王立協会に提出した特許申請書のタイトル。この論文の中でワットは、従来のニューコメン型蒸気機関の効率を大幅に向上させる、画期的な改良点について詳述しています。特に重要なのは、シリンダーとは別に凝縮器を設けるというアイデアです。これにより、シリンダーを常に高温に保つことができ、蒸気の凝縮による熱エネルギーの損失を大幅に減らすことができました。この改良は、ワットの蒸気機関が従来の蒸気機関に比べてはるかに効率的になり、産業革命の原動力となった要因の一つです。