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ワイルドのサロメの表現

## ワイルドのサロメの表現

登場人物の言語表現

サロメ、ヘロディア、ヘロデ王といった登場人物は、それぞれ特徴的な言語表現を用いられています。サロメは、若さと純粋さを思わせる、詩的で比喩的な表現が目立ちます。

例えば、預言者ヨカナーンの姿を「白い孔雀」や「月の光」と表現したり、彼の唇を「ザクロの実」にたとえたりする場面が挙げられます。彼女の言葉は、美への強い憧憬と、ヨカナーンへの倒錯した欲望を反映しています。

一方、ヘロディアは、現実的で皮肉を込めた表現を用いることが多いです。彼女は、サロメのヨカナーンへの執着を冷めた目で見ており、その様子は彼女の言葉にも表れています。

ヘロデ王は、享楽的で神経質な性格を表すような、断片的で時に支離滅裂な表現を用います。彼の言葉からは、退廃的な宮廷の雰囲気と、王自身の精神的な不安定さが読み取れます。

象徴主義

オスカー・ワイルドは、象徴主義を巧みに用いることで、登場人物の心情や劇全体のテーマを表現しています。例えば、ヨカナーンは、道徳と精神性の象徴として描かれています。

彼の白い衣は純潔を、彼が幽閉されている井戸は、彼が社会から隔絶されていることを象徴しています。 サロメは、官能性と死の象徴として描かれています。

彼女の美しさは、周囲の人々を魅了すると同時に、破滅へと導きます。 また、サロメがヨカナーンの首を求める場面で登場する月は、狂気と死の象徴として解釈されています。

聖書の物語の再解釈

ワイルドは、聖書の物語を独自の解釈を加えて描き出しています。聖書では、サロメは母親であるヘロディアにそそのかされてヨカナーンの首を要求しますが、ワイルドの作品では、サロメ自身の意思でヨカナーンに執着し、彼の首を求める姿が描かれています。

これは、ワイルドがサロメを、従来の「男性に操られる受動的な女性」というイメージから脱却させ、「自らの欲望に忠実な、能動的な女性」として描き出したことを示しています。

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