ローレンツの動物行動学の関連著作
ニコ・ティンバーゲンの「本能の研究」
1951年に出版された「本能の研究」は、動物行動学、特に本能行動の研究における画期的な著作です。ニコ・ティンバーゲンは、コンラート・ローレンツと共に動物行動学の創始者の一人として知られています。
本書では、ティンバーゲンは本能を「階層的に組織化された神経機構であり、内的および外的要因によって活性化され、生物種に特有な行動を引き起こす」と定義しています。彼は、カイイソコケムシを用いた実験など、具体的な事例研究を通して、本能行動の発達、メカニズム、機能を分析しました。
ティンバーゲンは、本能行動を理解するための４つの主要な問いを提唱しました。「至近要因」「発達要因」「究極要因」「系統進化要因」です。これらの問いは、動物行動の包括的な理解を促し、現代の動物行動学における重要な概念となっています。
カール・フォン・フリッシュの「ミツバチの生活と感覚世界」
1927年に出版された「ミツバチの生活と感覚世界」は、動物のコミュニケーションと感覚能力に関する先駆的な研究です。カール・フォン・フリッシュは、ミツバチの行動研究を通して、動物が複雑な信号を用いて情報を伝達することを明らかにしました。
フリッシュは、ミツバチが「円形ダンス」と「8の字ダンス」と呼ばれる行動で、蜜源の方向と距離を仲間へ伝えることを発見しました。これは、動物界における象徴的なコミュニケーションの最初の例の一つとして高く評価されています。
さらに、フリッシュはミツバチが偏光を感知できることを証明し、動物の感覚能力に関する理解を深めました。彼の研究は、動物行動学における観察と実験の重要性を示すと共に、動物の認知能力に対する認識を大きく変えました。