ローレンツの動物行動学が関係する学問
動物行動学
ローレンツは、コンラート・ローレンツと共に「動物行動学の父」と称され、動物行動学という学問分野の確立に大きく貢献しました。動物行動学は、動物の行動を生物学的に研究する学問です。動物行動学は、動物の行動を、その proximate cause（至近要因：どのように行動するか）と ultimate cause（究極要因：なぜ行動するか）の両面から解明しようとする学問です。
比較心理学
ローレンツの研究は、比較心理学にも大きな影響を与えました。比較心理学は、様々な動物の行動を比較研究することで、動物の行動の進化や心理の発生について解明しようとする学問です。ローレンツは、様々な種類の動物を観察し、その行動を比較することで、動物の行動の共通性や多様性について多くの重要な発見をしました。特に、刷り込みに関する彼の研究は、動物の初期経験がその後の行動に大きな影響を与えることを示し、比較心理学に大きな影響を与えました。
進化生物学
ローレンツの動物行動学は、進化生物学とも密接に関係しています。進化生物学は、生物の進化の過程を研究する学問です。ローレンツは、動物の行動は自然選択によって形作られたものであり、動物の行動を理解するためには、その行動が進化的にどのように有利に働いてきたのかを考慮する必要があると主張しました。
認知科学
近年では、ローレンツの動物行動学は、認知科学とも関連付けられるようになっています。認知科学は、人間の思考や行動を情報処理の観点から研究する学問です。ローレンツは、動物にもある程度の認知能力があると主張し、動物の行動を理解するためには、動物の内部状態や情報処理過程を考慮する必要があると述べました。
これらの学問分野との関係性を示す具体的な例として、ローレンツの研究の中でも特に有名な「刷り込み」の研究が挙げられます。彼はハイイロガンの雛を用いた実験を行い、雛が孵化後最初に見た動く物体に対して愛着行動を示すことを発見しました。この「刷り込み」の現象は、動物行動学、比較心理学、進化生物学、そして認知科学の全てにおいて重要な意味を持つ発見であり、ローレンツの研究が多岐にわたる学問分野に影響を与えたことを示す好例と言えるでしょう。