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ロビンソンの資本蓄積論の話法

## ロビンソンの資本蓄積論の話法

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モデルと前提

ロビンソンは、資本主義経済の動学的なメカニズムを分析するために、高度に抽象化されたモデルを用いています。彼女のモデルは、完全競争、完全予見、完全雇用といった非現実的な前提の上に構築されています。

これらの前提は、現実の経済とはかけ離れているため、しばしば批判の対象となります。しかし、ロビンソンは、これらの前提を置くことによって、分析を単純化し、資本蓄積と所得分配の根本的なメカニズムを明確に示すことができると主張しています。

彼女は、現実の経済における複雑な要因をすべて考慮に入れることは不可能であるため、分析の焦点を絞り、主要なメカニズムを明確にすることが重要であると考えています。

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数学的分析

ロビンソンは、経済分析に数学を積極的に導入しています。彼女は、数学を用いることで、経済モデルを厳密に構築し、論理的な整合性を確保できると考えています。

彼女の著作では、微分方程式や線形代数などの高度な数学が頻繁に登場します。特に、資本蓄積率と利潤率の関係を表す「ケンブリッジ方程式」は、彼女の分析の中核をなすものです。

しかし、数学の使用は、読者の理解を困難にする側面も持っています。そのため、ロビンソンは、数学的な分析と並行して、文章による直感的な説明も提供しています。

彼女は、数学が分析の道具に過ぎず、経済現象の本質を理解するためには、直感的な理解も必要であることを認識しています。

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批判的な視点

ロビンソンは、新古典派経済学に対して、鋭い批判を展開しています。彼女は、新古典派が、市場メカニズムの効率性を過度に強調し、資本主義経済における不平等や不安定性の問題を軽視していると批判しています。

特に、新古典派の限界生産力説に対しては、それが、資本と労働の貢献を適切に評価していないと批判し、搾取の存在を指摘しています。

ロビンソンは、マルクス経済学の影響を受けていますが、マルクス主義の教条主義にも批判的です。彼女は、マルクスの分析を現代の資本主義に適用するためには、修正が必要であると考えています。

彼女は、マルクス経済学の長所と短所を冷静に評価し、独自の分析枠組みを構築しようと試みています。

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