## ロックの統治二論を面白く読む方法
### 1. ロックの生きた時代背景に思いを馳せる
『統治二論』は17世紀後半のイギリス、名誉革命の渦中に発表された書物です。名誉革命とは、当時の国王ジェームズ2世の専制政治に対し、議会が中心となって新たな国王を擁立し、王権を制限した革命です。ロック自身もこの革命に関わっており、『統治二論』は単なる政治理論書ではなく、革命の正当性を主張するために書かれた、いわば「革命の書」としての側面を持っています。
### 2. 当時の論敵、フィルマーの主張と対比させて読む
ロックの主張をより深く理解するためには、彼が誰と、そして何に対して反論していたのかを知る必要があります。ロックの論敵の一人に、ロバート・フィルマーという人物がいます。フィルマーは『パトリアーチャ』という著書の中で、王権神授説を唱え、国王の絶対的な権力を擁護しました。
ロックはフィルマーの主張を真っ向から否定し、政府の権力は人民の同意に基づくものであると主張します。フィルマーの主張と比較することで、ロックの主張の革新性と重要性がより鮮明に浮かび上がってきます。
### 3. 具体的なエピソードや出来事を織り交ぜながら読む
『統治二論』は難解な文章が続く箇所もありますが、具体的な歴史上の出来事やエピソードを織り交ぜながら読むことで、より理解を深めることができます。
例えば、ロックが自然状態の例として挙げているアメリカ先住民の社会や、所有権の起源を説明する際に用いている労働価値説など、具体的な事例と関連付けて理解することで、抽象的な議論もより身近に感じられるはずです。
### 4. 現代社会とのつながりを意識しながら読む
『統治二論』で展開される自然権、抵抗権、社会契約論といった概念は、現代社会の礎となっています。現代社会における様々な問題、例えば民主主義の危機、人権問題、政府の役割などを考える際に、『統治二論』で提示されたロックの思想は多くの示唆を与えてくれます。
現代社会の課題と重ね合わせながら読むことで、『統治二論』は単なる古典ではなく、現代社会をより深く理解するための重要なテキストとして、その真価を発揮するでしょう。