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ロックの統治二論の評価

## ロックの統治二論の評価

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積極的な評価

* **自然権論に基づく政府の限定と個人の権利の擁護**

ジョン・ロックは「統治二論」において、自然状態における人間の権利として、生命、自由、財産の権利を挙げ、これらの権利は政府によっても侵害されない自然権であるとしました。

これは、国家の権力は人民の同意に基づくべきであり、政府は個人の権利を保障するためにのみ存在するという、近代 liberal な政治思想の基礎を築いたものとして高く評価されています。

ロックの思想は、イギリスの名誉革命(1688年)やアメリカの独立宣言(1776年)、フランスの人権宣言(1789年)などに大きな影響を与え、近代 constitutionalism の発展に貢献しました。

* **抵抗権・革命権の思想**

ロックは、政府が人民の同意に反して権力を濫用する場合、人民は抵抗する権利、さらには政府を倒して新たな政府を樹立する権利(革命権)を持つと主張しました。

これは、専制政治に対する歯止めとなり、市民革命を正当化する理論的根拠となったという点で画期的であり、その後の政治思想や歴史に大きな影響を与えました。

特に、アメリカ独立革命においては、ロックの思想が独立宣言の論理的根拠として用いられ、植民地の人々がイギリスからの独立を正当化する際に重要な役割を果たしました。

* **近代 liberal な政治体制の基礎**

ロックは、統治の形態として、立法権と執行権を分離した立憲政治を提唱し、権力の集中を防ぎ、個人の自由と権利を保障すべきだとしました。

彼の思想は、近代 liberal な政治体制の基礎となる重要な要素を含んでおり、現代社会においても、民主主義、人権、法の支配といった価値観の根底に息づいています。

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批判的な評価

* **自然状態と自然権の根拠**

ロックは、人間は自然状態において自由で平等であり、生命、自由、財産の自然権を持つと主張しましたが、この自然状態や自然権の概念は、歴史的な根拠や実証的な裏付けに乏しいという批判があります。

自然権は、あくまで理性に基づいた抽象的な概念であり、現実の社会や歴史において、常に保障されてきたわけではありません。

* **財産権の絶対視と経済的不平等**

ロックは、個人の権利の中でも財産権を特に重視し、労働によって獲得した財産は神聖不可侵であるとしました。

しかし、この考え方は、資本主義社会における経済的不平等を正当化する根拠として利用され、貧富の格差の拡大を招いたという批判があります。

* **抵抗権・革命権の行使範囲の曖昧性**

ロックは、政府の専制に対する抵抗権・革命権を認めましたが、その行使範囲を明確にはしていません。

これは、抵抗権が濫用され、社会の不安定や無秩序を招く可能性も孕んでいます。

実際、歴史上、ロックの思想は、正当な政府に対する反乱やクーデターを正当化する口実として利用された例も少なくありません。

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その他

* ロックの思想は、当時の歴史的・社会的文脈の中で理解する必要があります。
* 彼の主張は、現代社会においても、様々な解釈や議論を生み出しています。

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