## ロックの統治二論の発想
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自然状態における人間の権利と自由
ロックは、国家が存在しない「自然状態」における人間を考察することから始めます。彼によれば、人間は生まれながらにして「自然法」に支配されており、これは理性によって認識可能なものです。自然法は、各人が生命、自由、財産に対する固有の権利を持つことを規定しています。
自然状態においては、誰もがこれらの権利を享受し、また他者の権利を侵害してはならないという義務を負います。そして、各人が自然法を執行する権利、すなわち自分の権利を侵害した者を罰する権利を持っています。
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自然状態の困難さと政治社会の必要性
しかし、自然状態には重大な問題があります。
第一に、自然法の解釈や適用をめぐって紛争が生じやすく、客観的な判断が難しいことです。
第二に、各人が私的な制裁を加える権利を持つため、報復の連鎖や過剰な刑罰に陥りやすいことです。
第三に、共同体が存在しないため、外敵からの防衛や公共の福祉の実現が困難なことです。
これらの問題を解決するために、人々は互いに合意に基づいて政治社会を形成し、政府を設立する必要に迫られます。