## ロックの統治二論の力
ロックの統治二論における「力」の概念
ジョン・ロックは『統治二論』において、自然状態における「力」と政治社会における「力」を区別して論じています。
まず、自然状態における「力」は、個人が自己保存と他者の自然権侵害に対する自衛のために有する権利として定義されます。これは、他者を自己の意思に従わせたり、所有物を奪ったりする権利を意味するものではありません。
一方、政治社会における「力」は、共同体によって形成された政府に委ねられた、法に基づいて行使される公的な権力として定義されます。この権力は、共同体の安全と公益のためにのみ行使されるべきものであり、個人の自由や財産を侵害するためのものではありません。
「力」の限界と政府への抵抗権
ロックは、政府といえどもその「力」は絶対的なものではなく、常に法と国民の信託によって制限されると主張しました。政府がその権限を逸脱し、国民の自由や財産を侵害する場合、国民は抵抗する権利を有するとされます。
これは、ロックの思想における重要な点であり、後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも影響を与えた考え方です。
「力」の概念が持つ歴史的意義
ロックの「力」に関する考察は、当時の絶対王政に対するアンチテーゼとして重要な意味を持ちました。個人の権利と自由を擁護し、政府の権力を制限しようとする彼の思想は、近代市民社会の形成に大きな影響を与えたと言えるでしょう。