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ロックの統治二論が扱う社会問題

## ロックの統治二論が扱う社会問題

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自然状態における問題点

ロックは、統治二論の中で、まず自然状態と呼ばれる、政府が存在しない状態を想定します。この自然状態は、すべての人間が生まれながらにして自由で平等であり、生命、自由、財産に対する自然権を持つとされます。しかし、自然状態には大きな問題点が存在します。

第一に、自然権を侵害する者が現れる可能性があります。自然状態では、すべての人間が自由で平等である一方で、自分の権利を守るための力には差があり、悪意を持った者が他者の権利を侵害することが起こりえます。

第二に、自然法を解釈し、執行する共通の基準が存在しません。自然状態では、各人が自分の判断で自然法を解釈し、権利侵害に対して罰を執行することになります。しかし、解釈や罰の程度には個人差があり、客観的な判断基準や執行力は存在しません。

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社会契約と政府の役割

上記のような自然状態の問題点を解決するために、人々は互いに契約を結び、政府を設立します。これが社会契約と呼ばれるものです。人々は、自然状態における一部の権利を政府に委譲することで、残りの権利、特に生命、自由、財産の保護をより確実なものにしようとします。

政府は、人々の委譲した権利を用いて、社会秩序を維持し、自然権を保護する役割を担います。具体的には、法律を制定し、裁判を通じて紛争を解決し、違反者に対して罰を与えることで、人々の権利と安全を保障します。

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政府の権力の制限と抵抗権

ロックは、政府の権力は人々からの委託に基づくものであり、無制限であってはならないと主張します。政府が、人々の権利を侵害したり、暴政を敷くような場合には、人々は抵抗する権利、すなわち抵抗権を持つとされます。

抵抗権は、市民が政府の暴政に対して立ち上がり、権利を回復するための最終手段として位置づけられます。ただし、ロックは、抵抗権を行使することは、政府の転覆を必ずしも意味するものではなく、あくまで人々の権利と自由を守るための手段であることを強調しています。

これらの問題点や概念は、現代社会においても重要な意味を持ちます。政府の役割、個人の権利と自由、そして市民の政治参加といったテーマは、現代の政治哲学においても議論の対象であり続けています。

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