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ロックの政府論を読む前に

ロックの政府論を読む前に

ロックの思想的背景を理解する

ジョン・ロックは17世紀イギリスの哲学者であり、彼の思想は近代政治思想に多大な影響を与えました。彼の代表作である『統治二論』は、自然権論、社会契約論、抵抗権などを論じたものであり、近代立憲主義の基礎を築いたと評価されています。

ロックの思想を深く理解するためには、彼がどのような時代背景や思想的潮流の中で生きていたのかを知ることが重要です。ロックはイギリス清教徒革命(1642-1651)と名誉革命(1688)という二つの大きな革命を経験しており、これらの経験が彼の思想に大きな影響を与えました。

自然状態と自然権について考える

ロックの政治思想の中心には、人間が生まれながらにして持っている「自然権」という概念があります。自然権とは、生命、自由、財産に対する権利であり、いかなる政府といえども侵害することは許されません。

ロックは、政府が存在しない「自然状態」においても、人々は理性と自然法によって支配されており、互いの権利を尊重し合うことができると考えていました。しかし、自然状態では、自分の権利を侵害しようとする者から身を守ることは容易ではありません。そこで人々は、互いの権利をより確実に保護するために、社会契約によって政府を設立することに合意します。

社会契約論と政府の役割を理解する

社会契約論とは、人々が自らの自由の一部を政府に譲り渡す代わりに、政府から生命、自由、財産の保護を受けるという契約を結んでいるという考え方です。ロックは、政府の権力は国民から預託されたものであり、政府は国民の権利を守る義務を負っていると主張しました。

また、ロックは政府の権力を立法権、執行権、司法権に分離し、それぞれの権力を異なる機関に委ねることによって、権力の濫用を防ぐべきだと主張しました。これは、後の近代憲法において採用されることになる権力分立制の先駆けとなる考え方です。

抵抗権について考える

ロックは、政府が国民の権利を侵害したり、社会契約を破ったりした場合、国民は抵抗する権利を持つと主張しました。これは、当時のヨーロッパでは画期的な考え方であり、後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも大きな影響を与えました。

ロックの抵抗権論は、現代社会においても重要な意味を持ちます。政府の権力は無制限なものではなく、国民の権利を守るためにこそ存在するということを、改めて認識する必要があるでしょう。

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