ロックの政府論の発想
ロックの政府論における自然状態
ロックは、政府のない状態、すなわち「自然状態」を仮定することから議論を始めます。自然状態では、すべての人間は平等かつ独立しており、他者の生命、自由、財産を侵害する権利は誰にもありません。これが自然法であり、人間は生まれながらにしてこの権利を有しています。
自然権と社会契約
ロックは、自然状態における人間の権利として、生命、自由、財産の3つを挙げます。 これらの権利は、政府によって与えられるものではなく、人間が生まれながらにして持つものです。 しかし、自然状態では、自分の権利を侵害しようとする者から、自らを守らなければなりません。そこで、人々は、互いの権利をより確実にするために、契約によって政府を形成し、一部の権利を政府に委譲すると考えました。これが社会契約説です。
抵抗権と革命権
ロックは、政府が人々の権利を侵害する場合には、人民は抵抗する権利、さらに政府を倒す革命権を持つと主張しました。これは、政府の権力は人民によって与えられたものであり、政府がその契約を破った場合には、人民は政府を解体する権利を持つと考えたからです。
権力分立
ロックは、政府の専制を防ぐためには、権力を分立することが重要であると考えました。 立法権、行政権、司法権をそれぞれ異なる機関に委ねることによって、権力の集中を防ぎ、互いに牽制し合う体制を作ることを提案しました。