ロックの政府論の案内
ロックの代表作「統治二論」
ジョン・ロック（1632-1704）は、イギリスの哲学者であり、政治思想家です。彼の著作「統治二論」（1689年）は、政治哲学の古典であり、近代民主主義の思想に多大な影響を与えました。
「統治二論」の内容
「統治二論」は、以下の二つの論文から構成されています。
* **第一論：ロバート・フィルマーの「パトリアーチャ」に対する反論**
この論文でロックは、王権神授説を擁護したロバート・フィルマーの主張を批判します。フィルマーは、国王の権力は神から与えられたものであり、人民は国王に絶対的に服従する義務があると主張しました。ロックはこれに対して、聖書や歴史的根拠を基に、フィルマーの主張を論駁します。
* **第二論：市民政府論**
この論文でロックは、自然状態、自然法、社会契約論などを基に、市民政府の起源、目的、正当性、限界などを論じます。
自然状態と自然法
ロックによれば、人間は本来、政府のない「自然状態」において自由で平等な存在です。自然状態においては、誰もが自分の生命、自由、財産を守る権利である「自然権」を持っています。また、人間は「自然法」によって、他者の自然権を侵害してはならないという義務を負っています。
社会契約と政府の設立
自然状態は、権利侵害の可能性があり不安定な状態です。そこで、人々は、相互に権利を保障し、安全な社会を実現するために、「社会契約」を結び、政府を設立します。
政府の役割と限界
政府の役割は、人々の自然権を保護することです。政府は、法律を制定し、執行することで、人々の生命、自由、財産を守らなければなりません。しかし、政府の権力は、人々から委託されたものであるため、無制限ではありません。政府が人々の自然権を侵害する場合、人民は抵抗する権利を持つとロックは主張しました。
ロックの思想の影響
ロックの思想は、イギリスの 명예 革命（1688年）やアメリカの独立宣言（1776年）に大きな影響を与えました。彼の思想は、近代民主主義の基礎となる、基本的人権、人民主権、法の支配、抵抗権などの重要な概念を提示しました。