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ロックの政府論の思考の枠組み

## ロックの政府論の思考の枠組み

ロックの『統治二論』(1689年)における政府論は、自然状態、自然法、社会契約、抵抗権といった概念を柱として展開されます。以下では、これらの概念を軸に、ロックの思考の枠組みを詳細に解説します。

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自然状態

ロックは、政府が存在しない状態を「自然状態」と呼びます。自然状態は、決して無法状態や闘争状態ではなく、以下の三つの特徴を持つとされます。

まず、自然状態においては、すべての人間は「平等」です。これは、生まれながらにして持っている能力や権利において優劣がないことを意味します。

次に、自然状態には「自然法」が貫かれています。自然法は、神によって人間に与えられたものであり、理性によって認識することができます。自然法の中心には、自己保存の法則と共に、他者の生命、自由、財産を侵害してはならないという原則が存在します。

最後に、自然状態において、人間は「自然権」を保有しています。自然権は、生命、自由、財産に対する権利であり、誰も侵害することができません。

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社会契約

ロックは、自然状態における諸権利の保障を実現するために、人々が互いに合意の上で政治社会を形成し、政府を設立すると考えます。これを「社会契約」と呼びます。

社会契約において、人々は自らの自然権の一部を政府に委譲します。しかし、譲渡されるのは、自然法をよりよく執行するために必要な権利だけです。生命、自由、財産といった基本的な権利は、決して譲渡されることはありません。

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抵抗権

ロックは、政府の権力は人民によって付与されたものである以上、政府がその権力を乱用し、人民の権利を侵害する場合には、人民は抵抗する権利を有すると考えます。これを「抵抗権」と呼びます。

抵抗権は、専制政治を防ぎ、人民の自由と権利を保障するための最終的な手段となります。しかし、ロックは、抵抗権を行使することは、あくまで最終的な手段であると強調しています。

以上が、ロックの政府論における主要な概念であり、彼の思考の枠組みを構成するものです。これらの概念は、近代政治思想に多大な影響を与え、現代においてもなお重要な意味を持ち続けています。

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