ロックの寛容についての書簡に影響を与えた本
サミュエル・ピュフェンドルフ著「法の法と自然の法とにおける良心の自由と宗教問題の市民裁判権の限界に関する解説」
ジョン・ロックの「寛容についての書簡」は、宗教的寛容の力強い擁護であり、西洋思想における重要なテキストです。1689年に匿名で出版されたこの書簡は、ロック自身の経験と、その時代におけるより広範な知的、政治的文脈によって形作られました。ロックの思想に影響を与えた要因の一つに、サミュエル・フォン・ピュフェンドルフ（1632-1694）というドイツの法学者であり政治思想家の著作があります。特に、ピュフェンドルフの「法の法と自然の法とにおける良心の自由と宗教問題の市民裁判権の限界に関する解説」（1661年）は、ロックの寛容の概念に重要な影響を与えました。
ピュフェンドルフは、自然法の著名な擁護者でした。これは、人間の理性を通じて認識できる、人間社会に内在する普遍的で不変の法の体系です。彼の著書「De jure naturae et gentium」で、ピュフェンドルフは、国家は個人の権利を保護するために創設されたという考えを展開し、その中には良心の自由の権利も含まれます。彼は、信仰は本質的に個人のことであり、国家の強制によって左右されるべきではないと主張しました。
「良心の自由に関する解説」の中で、ピュフェンドルフは宗教的寛容の原則を具体的に適用しました。彼は、個人が宗教的な事柄において自分の良心に従う権利を有しており、国家はこの権利に干渉してはならないと主張しました。ピュフェンドルフは、強制的な宗教的適合は非生産的であり、不和につながる可能性があると主張しました。彼は、国家が宗教的多様性を許容すべきであり、個人に自分の信念に従って生きることを許可すべきであると主張しました。
ロックはピュフェンドルフの著作をよく知っており、ピュフェンドルフの思想はロック自身の寛容の概念に大きな影響を与えました。ロックの「寛容についての書簡」の中で、ピュフェンドルフのように、彼は、国家は個人の権利を保護するために創設されたと主張し、その中には良心の自由の権利も含まれます。ロックは、国家は宗教的な事柄において中立を維持すべきであり、どの宗教を支持したり、抑圧したりしてはならないと主張しました。彼は、強制的な宗教的適合は間違っており、非効果的であると主張しました。なぜなら、真の信仰は心の説得の問題であり、強制によって強制されることはできないからです。
ロックの寛容に対する主張は、ピュフェンドルフの著作と完全に一致していたわけではありません。ロックは、政府の権力に対するより個人主義的かつ契約主義的な見方を発展させ、個人は国家に譲渡できない特定の不可侵の権利を持っていると主張しました。さらに、ロックは主にキリスト教の文脈で寛容の概念に焦点を当てていましたが、ピュフェンドルフはより広範な宗教的信念を包含したより普遍的なアプローチを採用していました。
これらの違いにもかかわらず、ピュフェンドルフの「良心の自由に関する解説」がロックの「寛容についての書簡」に大きな影響を与えたことは明らかです。ピュフェンドルフの自然法の強調、個人の権利、宗教的強制の拒絶は、すべてロック自身の著作に見いだすことができます。ピュフェンドルフの著作は、ロックに宗教的寛容に対する洗練された理論的枠組みを提供し、彼がそれを独自の方法で発展させ、西洋思想における最も影響力のあるテキストの一つとなるように形作りました。