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ロックの人間知性論の感性

## ロックの人間知性論の感性

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感性とは

ジョン・ロックは、主著『人間知性論』の中で、人間がどのようにして知識を獲得していくのかを詳細に考察しました。彼は、人間の心は生まれた時は白紙の状態であり、「観念」によって満たされていくことで知識を得ると考えました。この「観念」の源泉となるのが、感覚的経験と内面的反省の二つです。ロックは特に、外的な感覚器官を通じて外界から得られる「観念」の源泉を「感性」と呼び、その働きを重視しました。

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感性による観念の獲得

ロックによれば、感性とは、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚といった五感をはじめとする外部感覚器官を通じて、外界の事物から「観念」を獲得する能力です。私たちが目に見える色や形、耳で聞こえる音、手で感じる硬さや温度などを認識できるのは、この感性によるものです。これらの感覚器官は、外界からの刺激を受容し、心に「観念」を生じさせます。例えば、赤いリンゴを見たとき、私たちの目はその光の情報を受け取り、心に「赤」という観念を生じさせます。

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単純観念と複雑観念

ロックは、感性によって得られる観念を「単純観念」と呼びました。単純観念は、それ以上分析できない、心の最も基本的な構成要素です。前述の「赤」という観念のほか、「甘い」「丸い」「冷たい」といった観念も、それぞれ単一の感覚から得られる単純観念です。

一方、複数の単純観念が組み合わさって構成される観念を「複雑観念」と呼びます。例えば、「リンゴ」という観念は、「赤い」「丸い」「甘い」といった複数の単純観念が組み合わさって構成される複雑観念です。

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感性の限界

ロックは、感性が知識の源泉として重要であることを認める一方で、その限界も明確に指摘しています。感性はあくまで外界の事物から「観念」を得るための手段であり、外界の事物そのものを直接認識できるわけではありません。

また、感性によって得られる情報は、常に主観的で限定的なものです。例えば、同じリンゴを見ても、人によって「赤い」と感じる度合いは異なりますし、色の見え方が異なる場合もあります。

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