## ロックの人間知性論の対極
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ライプニッツのモナドロジーおよび理性に基づく自然と恩寵の原理
ジョン・ロックの『人間知性論』は、人間の心が生まれたときには白紙の状態であり、経験を通してのみ知識が得られるという経験論を主張しました。 これは、理性によってのみ真の知識に到達できるとする合理論とは対照的な立場です。合理論の代表的な思想家の一人に、ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツが挙げられます。
ライプニッツは、『人間知性論』に対する批判として『人間知性新論』を執筆しましたが、これは彼の死後に出版されました。彼はまた、『モナドロジー』や『理性に基づく自然と恩寵の原理』などの著作において、独自の哲学体系を展開しました。これらの著作の中で、ライプニッツはロックの経験論に対抗する形で、合理論的な立場から人間知性、認識、宇宙の構造について論じています。
ライプニッツは、宇宙はモナドと呼ばれる無数の精神的な実体から構成されていると主張しました。モナドは、外部からの影響を受けずに、あらかじめプログラムされた独自の内部原理に従って活動します。この考え方は、人間の心が経験によって形作られるというロックの考えとは大きく異なり、むしろ生得的な能力や概念が知識の基盤となるという点で、ロックの人間知性論の対極に位置づけられます。
さらに、ライプニッツは、真の知識は理性に基づいていなければならないと主張しました。理性は、感覚経験を超えて、普遍的かつ必然的な真理を把握することを可能にします。彼は、数学や論理学に見られるような真理は、経験によって知ることはできず、理性によってのみ認識できると考えました。