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ロックの人間知性論とアートとの関係

## ロックの人間知性論とアートとの関係

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ロックの「人間知性論」における主要な主張

ジョン・ロックは、1689年に出版された『人間知性論』の中で、人間の心が生まれたときには白紙の状態であるという「タブラ・ラサ」説を主張しました。 心は経験を通してのみ知識を得るという経験論の立場を取り、感覚経験と内省(自身の心の内面的な働きを観察すること)の二つを知識の源泉としました。

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「人間知性論」における美的概念の欠如

「人間知性論」においてロックは、美や芸術といった問題を直接的に扱っていません。彼は知識の獲得過程や言語、倫理といったテーマに焦点を当てており、美的経験や芸術の創造性については詳細な考察を行っていません。

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美的判断における感覚の役割

しかし、「人間知性論」におけるロックの感覚経験に関する主張は、間接的に芸術理解に示唆を与える可能性があります。彼は、私たちが外界の事物について持つアイデアは、感覚を通して得られる質(色、形、音など)に基づくと述べています。この考え方は、絵画、音楽、彫刻といった芸術作品が、鑑賞者の感覚に訴えかけることで美的経験を生み出すという点で重要となりえます。

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「二次性質」と芸術

ロックは、事物が実際に持っている性質(「一次性質」)と、私たちの感覚によって生み出される性質(「二次性質」)を区別しました。彼は、色、味、音といった二次性質は、それ自体としては事物に内在するものではなく、私たちの感覚器官との相互作用によって生じる感覚であると主張しました。 この考え方は、芸術作品が、鑑賞者の主観的な感覚経験に依存する側面を持つことを示唆しているとも言えます。

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「連合」の概念と芸術

さらに、ロックは「連合」の概念を提唱し、これは一見無関係なアイデアが、時間的・空間的な近接性や反復によって結びつけられることを説明しました。この概念は、芸術作品が、様々なイメージ、音、言葉を組み合わせることで、鑑賞者に新しい連想や感情を喚起するプロセスを理解する上で有用となりえます。

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