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ロックの人間知性論から学ぶ時代性

## ロックの人間知性論から学ぶ時代性

ロックの生きた時代背景

ジョン・ロック(1632-1704)は、イギリスの哲学者であり、近代経験論の父と称されます。彼は、名誉革命(1688年)や権利章典(1689年)といった時代背景の中で活躍し、近代市民社会の形成に大きな影響を与えました。

当時のヨーロッパは、絶対王政や宗教的権威主義が支配的であり、個人の自由や権利は制限されていました。ロックは、このような時代状況に対して、理性に基づいた政治や社会の必要性を説きました。

『人間知性論』における経験主義

ロックの主著である『人間知性論』(1689年)は、人間の知識の起源と限界を探求した書物です。彼は、デカルトの生得観念説を批判し、人間の心は生まれた時は「白紙状態(タブラ・ラサ)」であり、全ての知識は経験を通して得られると主張しました。

ロックは、経験を「感覚による経験」と「内省による経験」の二つに分けました。前者は、五感を通して外界から得られる情報であり、後者は、自身の心の内面を観察することによって得られる情報です。

合理主義への批判と限界

ロックは、当時の主流であった合理主義に対しても批判的でした。合理主義は、理性のみによって真理を認識できるとする立場ですが、ロックは、理性はあくまでも経験によって得られた素材を整理し、判断する働きを持つに過ぎないと考えました。

しかし、ロック自身も、経験のみですべての知識を説明できるとは考えていませんでした。彼は、数学や倫理のような、経験を超越した普遍的な真理の存在も認めていました。

近代社会への影響

ロックの経験主義は、その後のイギリス経験論や啓蒙主義に大きな影響を与え、近代社会の形成に大きく貢献しました。彼の思想は、個人の自由や権利の尊重、政治における人民主権、宗教的寛容など、近代社会の基礎となる価値観を形成する上で重要な役割を果たしました。

現代社会における意義

現代社会においても、ロックの思想は重要な意味を持ち続けています。情報化社会の進展に伴い、私たちは日々膨大な情報にさらされていますが、その中から正しい情報を選び取るためには、批判的思考力や情報リテラシーが不可欠です。

また、グローバル化が進む現代社会においては、異なる文化や価値観を持つ人々との共存が求められますが、そのためには、ロックが重視した宗教的寛容や対話の精神が重要となります。

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