ロストフツェフのヘレニズム世界社会経済史を読む前に
ヘレニズム時代についての基礎知識を身につける
ロストフツェフの著書は、ヘレニズム時代(紀元前4世紀後半から紀元前1世紀)の世界を深く掘り下げた専門書です。そのため、事前にヘレニズム時代に関する基本的な知識を習得しておくことが重要となります。
具体的には、
* アレキサンダー大王の東方遠征と、それがもたらしたギリシア文化圏の拡大について
* ヘレニズム時代の主要な王国(マケドニア王国、プトレマイオス朝エジプト、セレウコス朝シリアなど)とその特徴、支配構造
* ヘレニズム時代の政治、経済、文化、社会の特徴
などを理解しておく必要があります。
古代ギリシア史、特に古典期アテネについての理解を深める
ヘレニズム時代は、古典期のギリシア、特にアテネの民主政や文化を土台として成立しました。ロストフツェフは、ヘレニズム時代を理解する上で、古典期アテネの影響を重視しており、随所で比較を行っています。
そのため、
* ペルシア戦争と、それがもたらしたアテネの繁栄
* ペリクレスによる民主政の確立と、その光と影
* ソクラテス、プラトン、アリストテレスといった哲学者たちの思想
* ギリシア悲劇、彫刻、建築といった古代ギリシア文化の特徴
を理解しておくことが、ロストフツェフの主張をより深く理解することに繋がります。
当時の史料やその解釈問題について軽く触れておく
ロストフツェフは、膨大な史料を駆使してヘレニズム世界を描き出しています。しかし、当時の史料は断片的で、解釈が難しいものも多く存在します。
そのため、
* 碑文、パピルス、貨幣といった史料の種類と特徴
* 史料解釈における問題点 (史料の信頼性、史料の偏り、解釈の多様性など)
について、事前にある程度の知識を持っておくことが望ましいです。
社会経済史という学問分野の特徴を理解する
ロストフツェフの著書は、政治史や文化史ではなく、社会経済史という観点からヘレニズム世界を分析しています。社会経済史は、社会構造や経済活動に焦点を当て、人々の生活や社会の変化を明らかにしようとする歴史学の一分野です。
そのため、
* 社会経済史における主要なテーマ(階級構造、経済システム、貿易、都市と農村の関係など)
* 社会経済史で用いられる分析方法(統計データの分析、社会構造のモデル化など)
を理解しておくことで、ロストフツェフの分析手法や着眼点をより深く理解することができます。