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ロストフツェフのヘレニズム世界社会経済史の企画書

## ロストフツェフのヘレニズム世界社会経済史の企画書

### 執筆の背景

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、古代ギリシア史研究、とりわけアレクサンドロス大王の東方遠征以降のヘレニズム時代に対する歴史的評価は、西洋史における停滞期、あるいは衰退期と見なされる傾向にありました。しかしながら、近年の考古学的新発見や古文書の解読が進むにつれて、従来の政治史・軍事史中心の史観では捉えきれない、ヘレニズム時代の社会・経済の活発な活動が明らかになりつつあります。

### 本書の目的

そこで本書は、政治史・軍事史中心の既存のヘレニズム史研究とは一線を画し、社会・経済の視点から、ヘレニズム時代を総合的に描き出すことを目的とします。具体的には、アレクサンドロス大王の死後からローマによる征服に至るまでの約300年間を対象に、古代エジプトからインド北西部に至る広大なヘレニズム世界における社会構造、経済活動、文化交流の実態を、膨大な史料に基づきながら詳細に解明していきます。

### 本書の特徴

本書は、以下の3つの点において、従来のヘレニズム史研究を大きく凌駕する画期的な研究書となることを目指します。

1. **社会経済史に焦点を当てたヘレニズム史研究**: 従来の政治史・軍事史中心のヘレニズム史研究とは一線を画し、社会構造、経済活動、都市と農村の関係、奴隷制、国際貿易、文化交流など、多角的な視点からヘレニズム世界を分析します。

2. **膨大な史料に基づく実証的な研究**: 古代ギリシア語・ラテン語のみならず、エジプトのパピルス文書、楔形文字文書、貨幣、碑文、考古学的資料など、あらゆる史料を駆使し、実証性を重視した研究を展開します。

3. **広範な地域を網羅する総合的な研究**: エジプト、シリア、メソポタミア、小アジア、ギリシア本土、マケドニアなど、ヘレニズム世界全域を視野に入れた、総合的な歴史叙述を試みます。

### 読者対象

本書は、古代史に関心を持つ一般読者から、歴史学研究者、学生まで、幅広い読者層を想定しています。特に、以下のような読者に最適な一冊と言えるでしょう。

* ヘレニズム時代に関心のある一般読者
* 世界史、西洋史を学ぶ学生
* 古代史、社会経済史を専門とする研究者

### 本書の構成(予定)

全3巻構成を予定しており、各巻はそれぞれ独立したテーマを扱いながら、相互に関連し合い、ヘレニズム世界全体の理解を深めるように構成されています。

**第1巻:ヘレニズム世界の形成**

* アレクサンドロス大王の東方遠征とヘレニズム世界の誕生
* ヘレニズム諸王国の成立と政治体制
* ギリシア人植民市とオリエント社会

**第2巻:ヘレニズム世界の経済と社会**

* 農業生産と土地所有
* 商業と貿易: 東西交易と国際都市
* 貨幣経済と金融
* 社会階層と社会移動
* 奴隷制と解放奴隷

**第3巻:ヘレニズム世界の文化と宗教**

* ギリシア文化の東方への伝播と変容
* オリエント文化の影響
* ヘレニズム世界の宗教: ギリシア神話、オリエント宗教、ユダヤ教
* ヘレニズム世界の学術と芸術

### 執筆者

ミハイル・イワノビッチ・ロストフツェフ

* ロシア帝国出身の歴史学者
* サンクトペテルブルク大学卒業
* オックスフォード大学教授
* エジプト、ロシア、中央アジアなどで広範な考古学調査を実施
* 古代史、特にヘレニズム時代とローマ帝国時代の社会経済史を専門とする

### 刊行予定

1920年代後半

### 出版社

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