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ロストフツェフのヘレニズム世界社会経済史と時間

## ロストフツェフのヘレニズム世界社会経済史と時間

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時間的範囲

ロストフツェフの主著『ヘレニズム世界社会経済史』(原題: The Social and Economic History of the Hellenistic World)は、その名の通り、ヘレニズム時代を扱っています。 彼が設定したこの時代の時間的範囲は、アレクサンドロス大王の死(紀元前323年)から、プトレマイオス朝最後の支配者であるクレオパトラ7世の死(紀元前30年)、もしくはアクティウムの海戦(紀元前31年)までのおよそ300年間です。

しかし、ロストフツェフはヘレニズム世界を歴史的に理解するため、しばしばこの枠組みを超えて考察しています。 例えば、本書では、ヘレニズム世界の起源を説明するために、アレクサンドロス大王の東方遠征以前の古代ギリシア世界、特にギリシア都市国家の社会経済構造や文化について触れられています。

また、ヘレニズム文明の影響は、ローマ帝国時代にも受け継がれていきます。 ロストフツェフは、ヘレニズム世界とローマ世界の間の連続性を重視しており、ローマ帝国の支配体制下におけるヘレニズム都市の経済活動や文化についても言及しています。

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時間と変化

ロストフツェフは、ヘレニズム時代を、古代ギリシア世界からローマ世界への「移行期」と捉え、その社会経済構造を詳細に分析しました。 彼は、アレクサンドロス大王の東方遠征とそれに続くヘレニズム諸王国の成立によって、地中海世界に広大な経済圏が形成され、商業活動が活発化したことを指摘しています。

また、ロストフツェフは、ヘレニズム時代における都市化の進展にも注目し、アレクサンドリアやアンティオキアといった新たな都市が、経済・文化の中心地として栄えたことを論じています。 彼は、これらの都市における社会構造の変化、特にギリシア人入植者とオリエント先住民との関係に着目し、両者の文化的な融合と対立が、ヘレニズム世界の複雑さを形作っていたと主張しています。

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史料と時間

ロストフツェフは、碑文、パピルス文書、貨幣などの考古学的資料を駆使し、従来の政治史中心のヘレニズム史研究とは異なる視点から、この時代を描き出しました。 彼は、これらの史料から、当時の経済活動、社会階層、日常生活などの実態を復元しようと試みています。

特に、エジプトから出土する膨大なパピルス文書は、ヘレニズム時代の経済活動や社会構造を理解する上で貴重な情報を提供しています。 ロストフツェフは、これらの史料を分析することで、当時の税制、土地所有、商業取引などの実態を明らかにし、ヘレニズム世界の経済システムを解明しようと試みました。

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