レーニンの帝国主義論の原点
レーニンの帝国主義論の基礎
レーニンの帝国主義論は、1916年に発表された『帝国主義、資本主義の最高段階』に基づいています。この著作でレーニンは、帝国主義を資本主義発展の必然的な帰結として捉え、その特徴を詳細に分析しました。レーニンの分析は、主に以下の三つの要素に基礎を置いています。
**1. 資本主義の矛盾の深化**
レーニンは、資本主義経済が発展するにつれて、生産力の増大と市場の拡大を求める傾向が強まると論じました。しかし、資本主義経済は同時に、富の偏在と労働者階級の貧困化をもたらします。この矛盾は、資本家同士の競争を激化させ、新たな市場と投資先を求める動きを加速させます。
**2. 独占資本主義の台頭**
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、資本主義経済は自由競争から独占資本主義へと移行しました。巨大な企業が市場を支配し、価格や生産量をコントロールするようになったのです。レーニンは、この独占資本主義こそが、帝国主義の経済的な基盤であると主張しました。
**3. 植民地獲得競争**
独占資本主義の下では、資本家は国内市場ではもはや十分な利益を得ることができません。そこで、彼らは海外進出を企て、植民地を獲得しようとします。レーニンは、列強による植民地獲得競争こそが、第一次世界大戦の根本的な原因であると結論付けました。