## レーニンの国家と革命を読んだ後に読むべき本
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国家論
レーニンの『国家と革命』は、マルクスの国家観を継承し、プロレタリア独裁による国家の消滅という壮大なビジョンを描いた書です。レーニンは国家を階級支配の暴力装置とみなし、ブルジョア国家を打倒し、プロレタリアートの独裁によってのみ真の解放が達成されると主張しました。
レーニンのこの主張をより深く理解するためには、国家という概念そのものについて、より広い視野から考察を深めることが重要です。そこで、レーニンの『国家と革命』を読んだ後に読むべき本として、哲学者プラトンの代表作である『国家論』を挙げたいと思います。
『国家論』は、ソクラテスの対話を通して、理想的な国家のあり方を追求していく哲学書です。プラトンは、正義、勇気、知恵といった徳の概念を軸に、個人の魂と国家の構造を対応させながら、理想的な統治体制や教育制度について考察しています。
『国家と革命』が革命という現実政治の文脈で国家を論じているのに対し、『国家論』は、あくまでも理想的な国家の形態を探求するという視点から書かれています。しかし、両者は対照的なようでいて、実は国家の本質や役割といった根源的な問題意識を共有しています。
例えば、『国家論』で展開される哲人王の思想は、知識や理性に基づいた統治の重要性を説くものであり、レーニンが『国家と革命』で主張する、プロレタリアートの先進的な理論に基づく指導体制とも通じるものがあります。
また、『国家論』では、個人の欲望や利害を超えた共通善の実現こそが国家の目的であるとされます。この考え方は、レーニンが『国家と革命』で強調する、階級対立の克服と共産主義社会の実現という目標にも繋がるものと言えるでしょう。
『国家論』を読むことで、国家という概念に対する理解を深め、レーニンの主張をより多角的に捉え直すことができるでしょう。古代ギリシャの哲学という、レーニンの時代とは大きく異なる文脈で書かれたテキストに触れることで、国家という普遍的なテーマについて、新たな視点を得ることが期待できます.