## レーニンの国家と革命の表象
###
国家の起源と本質
レーニンの「国家と革命」において、国家は階級対立から生まれた、支配階級による被支配階級を抑圧するための暴力装置として描かれています。レーニンは、国家は人類史の全期間にわたって存在したのではなく、私有財産の出現と階級社会の形成とともに生まれたと主張します。原始共産制の段階では、生産手段は共有され、階級対立は存在せず、したがって国家も必要ありませんでした。
しかし、生産力の発展とともに私有財産と階級社会が出現し、それに伴い、支配階級である奴隷所有者や資本家は、自らの経済的支配を維持するために、国家という暴力装置を用いて被支配階級である奴隷や労働者を抑圧する必要が生じたとレーニンは論じます。
###
ブルジョア国家とプロレタリア独裁
レーニンは、資本主義社会におけるブルジョア国家も、本質的には資本家階級による労働者階級を抑圧するための道具に過ぎないと主張します。議会制民主主義や法の支配といったブルジョア国家の制度は、一見公正に見えても、実際には資本家階級の利益を守るために巧妙に設計されたものであると彼は批判します。
レーニンは、資本主義社会における階級闘争において、労働者階級はブルジョア国家を打倒し、プロレタリア独裁を樹立する必要があると主張します。プロレタリア独裁は、ブルジョアジーを抑圧し、社会主義社会への移行を指導するための、労働者階級による一時的な支配形態であると定義されます。
###
国家の死滅
レーニンは、社会主義社会が発展し、階級対立が解消されるにつれて、国家は徐々にその機能を失い、最終的には完全に死滅すると展望しています。共産主義社会においては、国家のような暴力装置は必要なく、人々は自由で平等な社会を自らの手で運営していくことになると彼は述べています。
レーニンは、国家の死滅は一足飛びに実現するものではなく、長期的な歴史的過程を経て実現されるものであることを強調しています。プロレタリア独裁の段階においても、国家は一定期間存在し続け、社会主義建設と階級敵の排除という重要な役割を果たすと彼は論じています。