レーニンの唯物論と経験批判論の関連著作
レーニン「唯物論と経験批判論」とは?
1908年に出版されたレーニンの哲学的主著であり、当時のロシアにおけるマッハ主義などの唯心論的認識論を批判し、弁証法的唯物論の立場からマルクス主義哲学の基礎を擁護した作品です。レーニンは、マッハ主義が客観的な物質的現実の存在を否定し、感覚経験を唯一の現実とする主観的唯心論に陥っていると批判しました。
関連著作
1. マッハ「力学の展開」
エルンスト・マッハによって1883年に出版された本書は、古典力学の歴史と哲学を批判的に考察した作品です。マッハは、ニュートンの絶対時間や絶対空間といった概念を批判し、力学を感覚経験に基づいて再構築しようとしました。レーニンの「唯物論と経験批判論」は、マッハのこの著作における認識論、特に感覚経験を唯一の認識源とする立場を批判の対象としています。
2. アヴェナリウス「純粋経験の批判」
リヒャルト・アヴェナリウスによって1888年から1900年にかけて出版された本書は、経験批判論の基礎を築いた哲学書です。アヴェナリウスは、「純粋経験」という概念を提唱し、あらゆる知識は感覚経験から構成されると主張しました。レーニンの「唯物論と経験批判論」は、アヴェナリウスの主観主義的な認識論を批判し、客観的な物質的現実の認識の重要性を強調しました。
3. エンゲルス「自然の弁証法」
フリードリヒ・エンゲルスによって書かれた本書は、自然科学における弁証法的唯物論の適用を試みた著作です。レーニンの「唯物論と経験批判論」は、エンゲルスが展開した弁証法的唯物論の認識論を継承し、発展させています。特に、物質の客観的存在と、意識が物質の反映であるという原則は、「唯物論と経験批判論」における重要なテーゼとなっています。
4. プレーハノフ「唯物史観の基本問題」
ゲオルギー・プレーハノフによって1908年に出版された本書は、マルクス主義の歴史観である唯物史観を体系的に解説した著作です。レーニンはプレーハノフの唯物史観の解釈に影響を受けており、「唯物論と経験批判論」においても、社会意識の物質的基盤を重視する唯物史観の立場が表明されています。