## ル・コルビュジェの輝く都市の対極
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ジェイン・ジェイコブズ「アメリカ大都市の死と生」
ル・コルビュジェの「輝く都市」は、高層ビルが立ち並び、緑地帯と分離された機能的な都市を提唱したモダニズム建築の象徴的な概念です。一方、ジェイン・ジェイコブズの「アメリカ大都市の死と生」 (1961年) は、このモダニズム都市計画に対する痛烈な批判であり、人間の活動に基づいた有機的な都市の重要性を訴えました。
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多様性と複雑性がもたらす都市の活力
ジェイコブズは、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジのような雑多で活気のある街並みを理想とし、「多様性」と「複雑性」こそが都市の安全と活力を生み出すと主張しました。彼女は、用途地域制によって都市機能が分断され、画一的な高層ビルが立ち並ぶことで、人間的なスケールを失い、コミュニティが崩壊すると批判しました。
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「ストリート・アイ」と「歩道バレエ」
ジェイコブズは、安全な都市を実現するために、住民同士の自然な監視の目を意味する「ストリート・アイ」の重要性を説きました。また、街路での人々の活発な活動を「歩道バレエ」と呼び、多様な人々が行き交うことで都市に活気が生まれ、犯罪を抑制する効果があるとしました。
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ボトムアップ型の都市計画
「アメリカ大都市の死と生」は、トップダウン型のモダニズム都市計画を批判し、住民参加型のボトムアップ型の都市計画の必要性を訴えました。ジェイコブズの提唱は、その後の都市計画に大きな影響を与え、都市再生やコミュニティデザインの分野で重要な概念となっています。