## ルターのキリスト者の自由の表現
キリスト者の二つの本性
ルターは、キリスト者の自由を論じるにあたって、キリスト者には二つの本性があることを強調します。
* **霊的な本性**: 信仰によってキリストと一体となり、罪と死の支配から解放された自由な存在。
* **肉体的（外面的）な本性**: 現実世界に生き、罪の影響を受け続ける存在。
内面的自由
ルターにとって、キリスト者の自由は primarily 内面的なものです。これは信仰によってのみ得られる自由であり、罪や律法、死の束縛からの解放を意味します。
* **信仰による義認**: 人は行いではなく、ただキリストへの信仰によってのみ義と認められます。これは、律法の遵守によるのではなく、神の恵みによる自由を意味します。
* **罪からの解放**: 信仰によってキリストと一体となることで、人は罪の支配から解放されます。これは、罪を犯さないという意味ではなく、罪の束縛から自由になり、もはや罪に支配されないことを意味します。
* **永遠の命**: キリストへの信仰は、永遠の命、すなわち死からの解放をもたらします。これは、死の恐怖からの解放を意味し、真の自由をもたらします。
外面的自由との関係
ルターは、内面的な自由が、外面的行動に影響を与えることを否定しません。しかし、外面的行動は、内面的な自由の結果として自然に現れるものであり、それを強制したり、強制的に律法によって規定したりすべきではないと主張します。
* **愛による行為**: キリスト者は、信仰によって得た自由に基づき、隣人を愛するために自発的に行動します。これは、律法による強制ではなく、愛からの自由な行為です。
* **世俗の権威への服従**: キリスト者は、世俗の権威に進んで服従します。これは、外面的秩序を維持するためであり、また、隣人への愛の表現でもあります。ただし、信仰や良心に関わる問題においては、世俗の権威よりも神の言葉に従うべきであるとします。
自由の誤解への警鐘
ルターは、キリスト者の自由を、自己中心的な放縦や無秩序な状態と混同することを強く戒めます。
* **隣人への愛**: キリスト者の自由は、自己中心的なものではなく、隣人への愛に基づいて行使されるべきものです。
* **責任ある行動**: キリスト者は、自由を与えられた責任を自覚し、節度と良識を持って行動する必要があります。
まとめ
ルターにとって、キリスト者の自由は、信仰によってのみ得られる内面的な解放であり、罪、律法、死からの自由を意味します。この自由は、隣人への愛に基づいて行使され、責任ある行動と結びついています。