## ルソーの社会契約論の価値
###
国家の起源と正統性についての画期的な考察
「社会契約論」は、国家の起源と正統性について、それまでの伝統的な考え方を覆す画期的な考察を提示しました。 ルソー以前は、国家の権力は神から与えられたもの、あるいは自然に発生的に生まれたものとする考え方が支配的でした。 しかし、ルソーは、国家は個人の自由で平等な契約によって成立すると主張しました。 この社会契約によって、人々は一部の権利を共同体に譲渡する代わりに、自由と財産の保障を得るというのです。 このように、ルソーは、国家の権力の源泉を、神の意志や自然発生的な秩序ではなく、人間の自由意志に基づく合意に見出した点で、近代政治思想に大きな影響を与えました。
###
一般意志と人民主権の概念の提唱
ルソーは、「社会契約論」において、一般意志と人民主権という重要な概念を提唱しました。 一般意志とは、共同体の共通の善を実現するために必要な意志であり、個々の成員の特殊意志の総和とは区別されます。 ルソーは、真の自由とは、この一般意志に従うことであると考えました。 また、人民主権とは、この一般意志に基づいて政治を行うことを意味します。 つまり、ルソーは、主権は人民にあり、いかなる個人や団体も、人民の同意なしに権力を 행사することはできないと主張したのです。 この人民主権の概念は、フランス革命のスローガンである「自由・平等・友愛」にも影響を与え、近代民主主義の基礎となる重要な概念となりました。
###
自由と平等、そして共同体との調和の模索
ルソーは、「社会契約論」において、個人の自由と平等を重視する一方で、共同体との調和をどのように実現するかという問題にも取り組みました。 ルソーは、人間は本来自由で平等な存在であると同時に、社会の中で生きていくためには、一定のルールや秩序が必要であることを認識していました。 そこで、ルソーは、社会契約によって個人の自由と共同体の秩序を両立させようとしたのです。 ルソーの思想は、近代社会が直面する、個人の自由と社会の秩序の調和という普遍的な課題に対する、重要な示唆を与えています。