Skip to content Skip to footer

ルソーの学問芸術論を読む

## ルソーの学問芸術論を読む

###

はじめに

ジャン=ジャック・ルソーの「学問芸術論」は、1750年にディジョンアカデミーの懸賞論文として提出され、大きな反響を呼んだ作品です。ルソーは、人間社会の進歩とされる芸術と学問が、実は道徳の堕落をもたらしたと主張し、当時の啓蒙主義思想に真っ向から挑戦しました。

###

ルソーの主張

ルソーは、「学問芸術論」の中で、人間は本来、自然状態においては幸福であったと論じます。自然状態の人間は、自己保存と憐れみの情によってのみ行動し、社会や文明といった人工的なものに汚染されていませんでした。

しかし、社会の形成と共に、財産、名誉、権力といった不自然な欲求が生まれ、人間は互いに競争し、欺き合うようになりました。そして、学問や芸術は、こうした社会の悪徳を覆い隠し、さらに促進する役割を果たしたとルソーは批判します。

###

学問と芸術の批判

ルソーは、学問は虚栄心を満たすための道具となり、真の知恵をもたらさないばかりか、人間を自然から引き離すと主張します。また、芸術は贅沢と快楽を生み出し、感性を腐敗させると批判します。

例えば、雄弁術は真実よりも巧みに人を説得することを重視し、歴史は過去の栄光を美化して現状への不満を煽り、演劇は観客の感情を刺激して堕落させるとルソーは指摘します。

###

「学問芸術論」の影響

「学問芸術論」は、当時の社会に大きな衝撃を与え、賛否両論を巻き起こしました。ルソーの主張は、後のロマン主義運動の先駆けとなり、自然回帰や感性の重視といった思想に影響を与えました。

また、ルソーの社会批判は、現代社会にも通じる問題提起を含んでいます。情報化やグローバリゼーションが進む現代社会において、人間疎外や道徳の衰退といった問題は、ルソーが「学問芸術論」で提起した問題と無縁ではありません.

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5