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ルソーの学問芸術論に影響を与えた本

## ルソーの学問芸術論に影響を与えた本

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影響を与えた一冊

: **モンテーニュ『エセー』**

ジャン・ジャック・ルソーの主著『学問芸術論』は、1750年のディジョンアカデミーの懸賞論文に応募するために書かれました。その内容は、当時の啓蒙主義思想に真っ向から対立するもので、「学問と芸術は風俗を浄化するのに役立つか」という問いに「否」と答えています。ルソーはこの中で、学問や芸術の進歩が必ずしも人間を幸福に導くとは限らず、むしろ道徳の堕落を招くと主張しました。

ルソーのこのラディカルな主張に大きな影響を与えた書物の一つが、16世紀フランスの思想家ミシェル・ド・モンテーニュの『エセー』です。ルソー自身も、モンテーニュを敬愛するあまり、彼を「我が父」と呼ぶほどでした。『エセー』は、モンテーニュが自身の内面を赤裸々に綴った随想録であり、そこには人間存在の本質や、幸福な生き方に対する深い洞察が示されています。

ルソーは『エセー』から、特に以下の二つの点で大きな影響を受けたと考えられます。

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自然状態と社会状態

モンテーニュは『エセー』の中で、人間は本来自由で平等な「自然状態」において生きていたが、社会の形成と共に不平等や腐敗が生じたと論じています。これはルソーが『社会契約論』などを経て体系化する「自然状態」と「社会状態」の対比の原型と言えるでしょう。『学問芸術論』においても、ルソーは学問や芸術が発展した社会こそが、人間本来の善良な心を腐敗させると主張しており、モンテーニュの影響が色濃く見て取れます。

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内面の重視

モンテーニュは『エセー』の中で、外的な権威や社会通念にとらわれず、自らの内面に正直に生きることの大切さを説いています。ルソーもまた、学問や芸術がもたらす外面的な虚飾よりも、人間の自然な感情や内面的な道徳を重視しました。これは、ルソーの教育論においても重要なテーマとなり、『エミール』では、子供たちが自身の内面と向き合い、自然な感情を育むことの重要性が強調されています。

このように、ルソーの『学問芸術論』には、モンテーニュの『エセー』から受けた影響が色濃く反映されています。ルソーはモンテーニュの思想を土台としつつ、独自の鋭い社会批判と人間観を展開することで、後のロマン主義や社会思想に多大な影響を与えました。

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