## ルソーの学問芸術論と時間
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時間と歴史観
ルソーは『学問芸術論』において、歴史を重視する立場をとっています。彼は、人間は歴史の中で形成される存在であると捉え、歴史を学ぶことによって人間の本性や社会の起源について理解を深められると考えていました。
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進歩に対する懐疑
ルソーは、学問や芸術が進歩とともに発展してきたという一般的な見方に疑問を呈しました。彼は、学問や芸術の発展は必ずしも人間の幸福や徳の向上に繋がってきたわけではないと主張し、むしろ道徳的な堕落を招いた側面があると批判しました。これは、時間経過とともに人間が必ずしも「進歩」するとは限らないという、彼の歴史観に基づいています。
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自然状態と時間
ルソーは、人間が社会を形成する以前の「自然状態」という概念を提唱しました。自然状態における人間は、文明社会におけるような虚栄心や利己心にとらわれず、自らの自然な感情に従って生きていました。ルソーにとって、この自然状態は、時間的に過去の時代であると同時に、人間が本来あるべき理想的な状態でもありました。
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教育と時間
ルソーは、人間の道徳性を育むためには、自然状態における人間の純粋さを保つような教育が必要だと考えました。彼は、子供時代を非常に重要な時期と捉え、自然の中で自由に遊び、五感を育むことを通じて、子供たちが自発的に学ぶことを重視しました。これは、子供が成長していく過程、すなわち時間経過とともに、自然な状態から社会的な影響を受けることを踏まえた教育観と言えます。