ルソーの告白を読んだ後に読むべき本
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スタンダール 赤と黒
ルソーの『告白』は、自身の内面を赤裸々に綴った自伝的小説であり、自己愛と自己嫌悪の間で揺れ動く複雑な内面が描かれています。ルソーの魂の葛藤に触れた後には、同じく自己意識と社会の狭間で苦悩する青年を描いたスタンダールの『赤と黒』を読むことをお勧めします。
『赤と黒』の主人公ジュリアン・ソレルは、ルソーが理想とした自然人とは対照的に、野心と計算高さを持つ青年です。彼は、立身出世を夢見て、教会と貴族社会という二つの世界で、己の才能と美貌を武器に上り詰めようとします。
ルソーが『告白』で描き出したのは、社会によって抑圧された「自然な自己」の苦悩でしたが、『赤と黒』では、社会の中で自己を偽り続けることの苦悩が、ジュリアンという人物を通して描かれます。
『告白』を読んだ後だからこそ、『赤と黒』を通して、社会と自己の関係性、そして人間の欲望と道徳の葛藤について、より深く考えることができるでしょう。