## ルソーの告白の感性
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自己愛と自己嫌悪
ルソーの感性は、自己愛と自己嫌悪という相反する二つの感情に彩られていると言えるでしょう。「告白」において彼は、自らの才能や感受性の強さを誇示する一方で、自身の弱さや罪悪感に苛まれる様子を赤裸々に描いています。
例えば、彼は自身の生来の感受性の強さについて語り、それが周囲の人々との摩擦を生み、孤独へと繋がっていったと述べています。同時に、自身の行動を振り返り、他人を傷つけたことや嘘をついたことに対する罪悪感に苦しめられる様子も描かれています。
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自然への憧憬
ルソーの感性を語る上で欠かせないのが、自然への強い憧憬です。彼は、人間社会の欺瞞や腐敗に失望し、自然の中に見出すことのできる純粋さや美しさに心の安らぎを求めました。
「告白」においても、自然の中で過ごした幼少期の思い出や、自然の風景を描写する場面には、彼の深い愛情と憧憬が見て取れます。自然は彼にとって、安らぎと慰めを与えてくれる存在であると同時に、人間本来の姿を映し出す鏡のような役割も果たしていたと考えられます。
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社会への不信感
ルソーは人間社会に対して、強い不信感を抱いていたことも忘れてはなりません。彼は、社会の慣習や道徳が人間本来の姿を歪め、不平等や不幸を生み出していると批判しました。
「告白」においても、彼が体験した社会での苦難や、人間関係における裏切りなどが赤裸々に描かれています。こうした経験を通して、彼は社会への不信感を募らせ、人間社会から離れて自然の中で生きることを理想とするようになっていったのでしょう。
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繊細な感受性
ルソーは非常に繊細な感受性の持ち主であり、それは「告白」全体を通して顕著に表れています。彼は、周囲の人々の言葉や態度、自然の風景など、あらゆるものに対して深い感動を覚え、それを詳細に描写しています。
彼の繊細な感受性は、喜びや幸福だけでなく、苦痛や悲しみもより強く感じさせるものでした。そのため、彼はしばしば人間関係に悩み、孤独に苛まれることになります。しかし、その一方で、彼の繊細な感受性は、優れた文学作品を生み出す源泉ともなりました。