## ルソーの告白の光と影
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真実の告白
ルソーの『告白』は、それまでの自伝の概念を覆す、画期的な作品でした。王侯貴族や英雄ではなく、一介の市民であるルソーが、自らの生涯、特に内面を赤裸々に綴ったことは、当時の文学界に衝撃を与えました。彼は、自らの性癖、過ち、弱さ、卑劣な行為さえも隠すことなく告白し、人間存在の真実を追求しようとしました。これは、当時の社会通念や道徳観から大きく逸脱した行為であり、ルソーの強い意志と勇気が感じられます。
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自己正当化と矛盾
一方で、『告白』には、ルソーによる自己正当化と矛盾が散見されるのも事実です。彼は、自らの行動を正当化するために、他者を非難したり、事実を歪曲したりしている箇所が見受けられます。また、過去の言動と矛盾する記述も少なくありません。
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文学的手法と脚色
『告白』は、単なる事実の羅列ではなく、文学作品としての側面も持ち合わせています。ルソーは、自らの記憶を頼りに、巧みな文章力と構成力で、ドラマティックな物語として再構成しています。そのため、事実と虚構が入り混じり、どこまでが真実なのか判別が難しい部分も存在します。