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ルソーの人間不平等起源論の位置づけ

## ルソーの人間不平等起源論の位置づけ

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ルソーの思想における位置づけ

『人間不平等起源論』(Discours sur l’origine et les fondements de l’inégalité parmi les hommes、1755年)は、ルソーの主要著作の一つであり、社会契約論へとつながる重要な思想的基盤を形成しています。本著でルソーは、人間社会における不平等の起源と発展を歴史的に考察し、自然状態の人間が持つ「自然権」と、社会状態における「不平等」を対比させています。

ルソーは、人間は本来自由で平等な自然状態において生きていたが、私有財産の発生と社会の形成によって不平等が生じたと論じます。この不平等は、富の蓄積、権力の集中、社会的地位の固定化などを通じて、世代を超えて固定化されていくとされます。

『人間不平等起源論』は、後のフランス革命にも影響を与えた社会思想の古典として位置づけられています。

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西洋思想史における位置づけ

『人間不平等起源論』は、西洋思想史においても重要な位置を占めています。

まず、本著は、ホッブズの『リヴァイアサン』(1651年)やロックの『統治二論』(1689年)といった、それまでの社会契約論と比較されることが多いです。ホッブズやロックが、自然状態の人間は利己的で闘争的であると想定し、社会契約によって秩序と安全がもたらされると論じたのに対し、ルソーは、自然状態の人間は自己愛(amour de soi)と憐れみ(pitié)という自然感情によって、他者と共存していたと主張しました。

また、本著は、啓蒙主義の思想とも深く関わっています。ルソーは、理性の進歩が必ずしも人間の幸福に繋がるとは限らず、むしろ不平等や腐敗を生み出す可能性があると批判しました。この点で、ルソーは、理性万能主義を唱えた他の啓蒙思想家と一線を画しています。

このように、『人間不平等起源論』は、従来の社会契約論や啓蒙主義の思想を批判的に継承しながら、独自の社会思想を展開した画期的な著作として、西洋思想史に大きな影響を与えました。

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