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ルソーの人間不平等起源論と言語

## ルソーの人間不平等起源論と言語

ルソーの考える自然状態と人間

ルソーは、人間が自然状態においては、理性や言語、社会性を持たず、自己保存と憐れみという二つの自然感情によってのみ突き動かされる存在だと考えました。この自然状態の人間は、他者への依存もなく、所有欲や優越心を持たないため、不平等も存在しません。

言語の起源と不平等の発生

ルソーは、人間が自然状態から抜け出し、不平等が生じる原因の一つとして言語の発生を挙げます。自然状態の人間は、単純な感情表現のみを持ち合わせていましたが、共同作業などを通じて他者との意思疎通の必要性が高まるにつれて、徐々に複雑な言語体系を獲得していきました。

言語の発生は、人間に抽象的な思考や概念化を可能にし、他者との比較や評価を生み出す要因となりました。そして、財産の所有概念、社会的地位の認識、支配と服従の関係などが言語を通じて形成されることで、人間社会における不平等が生まれ、固定化されていったとルソーは論じます。

言語による疎外

さらにルソーは、言語の発生が人間を自然状態から引き離し、疎外を生み出したとも指摘しています。言語は人間に理性や知識をもたらすと同時に、虚栄心や欺瞞、欲望といった不自然な感情を生み出す要因ともなりました。

自然状態における単純な幸福は、言語によって複雑化された社会構造の中で失われ、人間は本来の自由な状態から遠ざけられていくことになります。

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