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ルソーのエミールを読んだ後に読むべき本

ルソーのエミールを読んだ後に読むべき本

エミールを読み解くためのより深い考察へ誘う一冊

ジャン=ジャック・ルソーの『エミール』は、教育論の古典として、あるいは人間形成の理想を追求したロマン主義的哲学の書として、時代を超えて読み継がれてきました。自然状態における人間の善性を前提とし、理性や社会の偏見から自由な教育によって、自律的で徳の高い人間を育成することを目指すこの書は、当時の社会に大きな衝撃を与え、現代社会においてもなお、我々に多くの示唆を与え続けています。

『人間の条件』ハンナ・アレント

『エミール』を読み終えた後、読者の心に去来するのは、はたしてルソーの理想とする教育が、現代社会においても実現可能なのか、という問いではないでしょうか。社会構造が複雑化し、情報が氾濫する現代において、ルソーが提唱するような自然との触れ合いを重視した教育は、時代錯誤に映るかもしれません。

ハンナ・アレントの『人間の条件』は、このような問いを抱く読者に、現代社会における教育のあり方を根源的に問い直す視点を提供してくれるでしょう。アレントは、人間存在を「労働」「仕事」「活動」の三つの活動に分類し、それぞれが人間の条件を規定していると論じます。

「労働」は、生命維持のための活動であり、「仕事」は、人工物を作り出す活動であるのに対し、「活動」は、人間が言葉や行為を通して、他者と直接的に関係を結ぶことを指します。アレントは、現代社会においては「労働」と「仕事」が肥大化し、「活動」の領域が軽視されていると批判します。

ルソーは『エミール』において、自然との触れ合いを通して、人間の感性を育むことの重要性を説いています。これは、アレントのいう「活動」の領域に対応するものであり、他者との関係性を築くための基盤となるものです。

『人間の条件』を読むことで、ルソーの教育論を現代社会に接続し、人間らしい生き方とは何か、真の教育の目的とは何かを、より深く考えることができるでしょう。

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