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ルソーの「エミール」の構成

## ルソーの「エミール」の構成

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序論

「エミール」は、ルソー自身が「最良にして最大の作品」と述べるように、その著作活動の集大成と位置づけられる書物です。教育論、政治論、宗教論など、ルソーの思想の精华がこの一冊に詰め込まれています。

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第1巻:乳児期(0歳~2歳)

生まれたばかりの乳児は、完全に無力な存在であり、周囲の環境や大人たちの影響を強く受けます。ルソーは、この時期の教育において最も重要なのは、自然な成長を阻害するような過剰な干渉を避け、子どもの自由と健康を尊重することだと主張します。具体的には、母乳育児の重要性、乳母や家庭教師の選び方、子どもの五感を養うための適切な環境作りなどが論じられます。

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第2巻:幼年期(2歳~12歳)

この時期の子どもは、感覚を通して世界を認識し始めます。ルソーは、この時期の教育においては、子どもの好奇心や探求心を刺激し、五感を鍛えることが重要だと考えます。具体的には、自然の中で遊ばせることの重要性、おもちゃや絵本を使った遊び方、感覚的な体験を通して学ぶことの大切さなどが論じられます。

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第3巻:少年期(12歳~15歳)

この時期の子どもは、理性や思考力が発達し始めます。ルソーは、この時期の教育においては、子どもの知的好奇心を刺激し、自発的な学習意欲を育むことが重要だと考えます。具体的には、読書を通して知識や教養を身につけることの重要性、自然科学や地理学など、実用的な学問を学ぶことの大切さ、教師と生徒の関係性などが論じられます。

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第4巻:青年期(15歳~20歳)

この時期の青年は、自我が芽生え、社会との関わりの中で自分の役割や立場を意識し始めます。ルソーは、この時期の教育においては、道徳心や社会性を育み、良き市民として社会に貢献できる人間を育成することが重要だと考えます。具体的には、歴史や文学を通して人間理解を深めることの重要性、宗教や道徳に関する教育の必要性、恋愛や結婚に関する教育などが論じられます。

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第5巻:青年期(20歳~)とソフィー(エミールの妻となる女性)の教育

最終巻では、青年期を終えようとするエミールが、理想的な女性ソフィーと出会い、結婚に至るまでの過程が描かれます。ここでは、女性の教育についても詳しく論じられます。ルソーは、女性は男性とは異なる役割を担うべきだと考え、女性の教育は男性の教育とは異なるものであるべきだと主張します。具体的には、家庭における女性の役割、子育ての重要性、女性が身につけるべき教養やマナーなどが論じられます。

“エミール”は、単なる教育論にとどまらず、人間形成、社会、政治、宗教など、幅広いテーマを扱った壮大な書物です。それぞれの巻が独立したテーマを持つと同時に、全体を通して一貫した思想が貫かれています。

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