## ルクセンブルグの資本蓄積論の面白さ
###
マルクスの再生産表式を批判的に継承
ローザ・ルクセンブルクの主著『資本蓄積論』は、マルクスの『資本論』第二巻で展開された資本主義経済の再生産過程に関する理論、すなわち再生産表式を出発点としています。ルクセンブルクは、マルクスのこの理論枠組みを高く評価しつつも、同時にその限界を鋭く指摘しています。
マルクスの再生産表式は、資本主義経済が、労働力と生産手段という二つの部門から成り立ち、それらが相互に依存しながら生産と再生産を繰り返す過程を明らかにしました。これは資本主義経済の動態を理解する上で画期的な分析でしたが、ルクセンブルクは、マルクスのモデルが資本主義経済の外部、すなわち非資本主義的経済の存在を考慮に入れていない点を批判しました。
###
資本主義の拡張と帝国主義の必然性を論じた
ルクセンブルクは、資本主義経済がその内部だけでは剰余価値の実現が不可能であり、常に外部に市場と投資先を求めて拡大していくという、資本主義の拡張の本質を明らかにしました。そして、この資本主義の拡張は必然的に非資本主義世界との対立と搾取をもたらし、帝国主義へと発展していくと論じました。
ルクセンブルクは、歴史的な事例研究を通じて、資本主義列強が植民地支配や不平等条約などを通じて非資本主義世界を経済的に従属させてきた事実を明らかにし、帝国主義を資本主義発展の必然的な帰結として捉えました。
###
現実の資本主義の矛盾を鋭く分析した
『資本蓄積論』は、抽象的な理論的考察にとどまらず、20世紀初頭の現実の資本主義経済が抱える様々な矛盾を分析した点においても重要な著作です。ルクセンブルクは、資本主義の拡張がもたらす帝国主義戦争、労働者階級の窮乏化、経済危機などの問題を鋭く指摘し、資本主義体制の将来に対する深い洞察を示しました。
彼女の分析は、20世紀に起こった世界大戦や世界恐慌、そして現代のグローバリゼーションが抱える問題を予見するものであり、現代社会においても重要な示唆を与え続けています。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。