ルクセンブルグの資本蓄積論の対極
ローザ・ルクセンブルクの主張
ローザ・ルクセンブルクの『資本蓄積論』(1913年)は、マルクスの資本論を継承しつつも、独自の帝国主義論を展開したことで知られています。彼女の主張の核となるのは、資本主義は常に剰余価値の実現場所を求めて、非資本主義世界へと向かうという点です。
対極に位置する歴史的名著:ヨーゼフ・シュンペーター『経済発展の理論』
ルクセンブルクの資本蓄積論の対極に位置する歴史的名著として、ヨーゼフ・シュンペーターの『経済発展の理論』(1911年)が挙げられます。
シュンペーターの主張
シュンペーターは、資本主義のダイナミズムを、イノベーションによって牽引される「創造的破壊」のプロセスとして捉えました。彼によれば、資本主義経済は、企業家による新製品の開発、新技術の導入、新市場の開拓といったイノベーションによって、常に変革と成長を遂げていくとされます。
両者の対立軸
ルクセンブルクとシュンペーターの主張は、資本主義の駆動力をどこに求めるかという点で、明確に対立しています。
* ルクセンブルクは、資本主義の原動力は、非資本主義世界への搾取と拡大にこそ存在すると考えました。
* 一方、シュンペーターは、資本主義の活力は、内部から生み出されるイノベーションにこそ存在すると考えました。
それぞれの視点が生み出された背景
両者の主張の違いは、それぞれの生きた時代背景や思想的立場を反映しています。
* マルクス主義の立場をとるルクセンブルクは、資本主義の矛盾と限界を鋭く指摘し、帝国主義を資本主義の最終段階と捉えました。
* 一方、オーストリア学派の伝統を受け継ぐシュンペーターは、市場経済の効率性とイノベーションの可能性を高く評価し、資本主義の長期的な発展を展望しました。