## ルカーチの歴史と階級意識と時間
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ルカーチにおける歴史と時間
ルカーチは、ヘーゲルとマルクスの影響を受けつつ、独自の唯物史観を展開しました。彼は、歴史を単なる出来事の羅列としてではなく、人間の意識と活動によって形成される動的な過程として捉えました。
ルカーチは、歴史における人間の主体的な役割を重視し、「階級意識」という概念を提唱しました。階級意識とは、特定の階級に属する人々が、自分たちの置かれた社会的な立場や利害を自覚し、共通の目的意識を持つことを指します。ルカーチは、階級意識が歴史の発展の原動力となると考えました。
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時間意識と歴史意識
ルカーチは、『歴史と階級意識』の中で、時間意識と歴史意識の関係についても考察しています。彼は、日常的な時間意識は、資本主義社会における労働の分業によって断片化され、抽象化されていると批判しました。
資本主義社会では、労働者は、自分が生産している製品の全体像や、その製品が社会の中でどのように位置づけられているかを理解することができません。そのため、労働者は、自分の労働を、単なる金銭を得るための手段としか見なすことができず、歴史の主体としての自覚を持つことが難しくなります。
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歴史における時間の客観性と主体性
ルカーチは、時間という概念が、客観的な側面と主体的な側面の両方を持つことを指摘しました。時間は、客観的には、自然現象や社会的な出来事が生起する流れ、すなわち歴史そのものを指します。一方、時間は、主体的には、人間が歴史を認識し、解釈する際の枠組みとして機能します。
ルカーチは、歴史における時間の客観性と主体性の相互作用を重視しました。彼は、歴史は、客観的な法則性に従って発展していく一方で、人間の主体的な活動によって変化していくものでもあると考えました。