## ルイスのナルニア国物語の価値
キリスト教的寓意
ルイス自身が認めているように、『ナルニア国物語』にはキリスト教的寓意が色濃く反映されています。特に『ライオンと魔女』では、アスランが自らを犠牲にしてエドマンドを救う場面は、イエス・キリストの贖罪を象徴的に描いていると解釈されています。しかし、ルイス自身は「説教を書くために物語を書いたのではなく、物語を書くために物語を書いた」と述べており、キリスト教の教義を押し付けるものではなく、あくまでも物語を通して道徳や信仰について考えさせることを意図していました。
児童文学としての魅力
『ナルニア国物語』は、子供たちの想像力をかきたてる魅力的な要素が満載です。しゃべる動物たちや神話的な生き物たちが登場するファンタジー世界、善と悪の戦いを描いた冒険物語、そして個性豊かな子供たちの成長譚は、時代を超えて多くの読者を魅了してきました。ルイスは、子供たちが現実世界で直面する問題や葛藤を、ファンタジーの世界を通して間接的に体験させることで、道徳的な教訓や人生の真理を自然と学べるように物語を構成しています。
文学的価値
『ナルニア国物語』は、単なる児童文学の枠を超えた文学作品としての評価も確立しています。ルイスは、詩的な表現や巧みな比喩を駆使し、深みのある世界観を構築しました。また、聖書や神話、民話など様々な文学作品からモチーフを引用することで、重層的な物語構造を作り上げています。さらに、登場人物たちの心理描写も丁寧に描かれており、子供だけでなく大人も楽しめる作品となっています。