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リースマンの孤独な大衆と時間

## リースマンの孤独な大衆と時間

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リースマンにおける「時間」の位置づけ

リースマン自身は、「孤独な大衆」の中で直接的に「時間」について論じているわけではありません。彼の考察の中心は、社会構造の変化が個人の性格構造に与える影響であり、「時間」はその考察の中で直接的に扱われるテーマではありません。しかし、「伝統指向型」、「内部指向型」、「他人指向型」という彼の提示した三つの性格類型は、それぞれの時代背景や社会構造と密接に結びついており、時代背景や社会構造を規定する要素の一つとして「時間」への意識が大きく関わっていることは言うまでもありません。

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伝統指向型と時間

伝統指向型は、前近代社会における支配的な性格類型であり、人々の行動は伝統や慣習によって強く規定されていました。この時代においては、「時間」は循環的なものとして捉えられており、農業を中心とした生活リズムの中で、人々は自然のサイクルに合わせた生活を送っていました。そのため、時間に対する意識は相対的に希薄であり、未来に対する明確な展望を持つことは少なかったと考えられます。

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内部指向型と時間

近代社会への移行に伴い、伝統や慣習の拘束力が弱まり、個人の内面的な価値観や良心によって行動を律する内部指向型が登場します。産業革命による経済発展や都市化が進展する中で、人々は時間に追われるようになり、効率性や生産性が重視されるようになりました。この時代においては、「時間」は直線的なものとして捉えられ、未来に向かって進歩していくという意識が強まります。

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他人指向型と時間

20世紀半ばに登場した他人指向型は、高度消費社会における支配的な性格類型です。大量生産・大量消費社会においては、人々は周りの人間との調和を重視し、周囲の期待に応えるように行動する傾向が強まります。マスメディアの発達や情報化社会の進展により、人々は常に新しい情報や刺激にさらされ、時間に追われる感覚がさらに強まります。この時代においても、「時間」は直線的なものとして捉えられていますが、未来に対する明確な展望を持つというよりは、現在の状況に適応することに重点が置かれる傾向があります。

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