リヴィウスのローマ建国史の評価
リウィウスの史観
リウィウスは共和政ローマ末期の紀元前59年頃に生まれ、帝政初期の17年頃に没した歴史家です。彼の主著『ローマ建国史』は、ローマ建国から紀元前9年までのローマの歴史を、伝説時代から叙述した monumental な作品です。
史料批判
リウィウスは、先行する歴史家や年代記作者の著作、公文書、碑文など、様々な史料を駆使して『ローマ建国史』を執筆しました。しかし、現代の歴史学の観点から見ると、リウィウスの史料批判は必ずしも十分であるとは言えません。彼は伝説や伝承を無批判に受け入れたり、異なる史料間の矛盾を解消しようと努めなかったりする傾向が見られます。
歴史叙述の特徴
リウィウスの歴史叙述は、簡潔で格調高い文体で知られています。彼は歴史的事実を淡々と描写するのではなく、登場人物の心理描写や劇的な表現を交えながら、生き生きとした物語として描き出すことに長けていました。
共和政ローマへのノスタルジア
リウィウスは、アウグストゥスの治世下に『ローマ建国史』を執筆しましたが、その作品からは共和政ローマに対する強いノスタルジアを読み取ることができます。彼は共和政初期のローマ人の徳を称賛し、奢侈や権力闘争によって共和政が衰退していった過程を批判的に描いています。
後世への影響
『ローマ建国史』は、古代ローマにおいても高く評価され、後世の歴史家や文学者に多大な影響を与えました。ルネサンス期以降、再び西洋世界で広く読まれるようになり、ローマ史研究の基礎資料としてだけでなく、文学作品としても高い評価を得ています。